night and day

メンヘラオタクブログ

後悔と懺悔

誰にも言えない過去が、私の首を真綿で絞め続ける夜がある。

 

私は十数年生きてきた中で何度も罪を犯していると、思う。

それはなにも法に触れるような人殺しとか盗みとかではなくて、けれど同時に私は自分自身の愚かさ、浅はかさ、浅慮さから相手の、そして最後には自分の尊厳を何度も何度も台無しにしてしまった気がする。

 

この前、すごく尊敬していて、大切で、憧れで、大好きだった人からの信用を私は裏切ってしまった。

詳しくは割愛するが、なんであんなことしてしまったんだろうと思う。

バカだね。

裏切って傷つけたその時、最低なことに私に罪の意識はなくて、けれどその瞬間のあの人の、なんとも言えない、微妙な反応を、表情を、今でも鮮明に思い出せる。
まぶたの裏にこびりついて離れない。
 
叱責を受けたのはついこの前だ。言われないとわからないのも、バカだ。本当に。
恫喝したり、呆れ返ったりすることなく、「気をつけてね。人間誰でも間違うし。」と書いてあったこと。優しいあの人の表情が目に浮かぶようで。
それに気づいてすぐ謝罪と、深く反省しているとの旨を打ち込み送信した。
後悔と、反省と、申し訳なさと、自己嫌悪と、まるで言葉にしきれない気持ちで指が震えて。
不思議と、その瞬間は身体は異様に重くなったものの涙は出なかった。生きるってそんなもんだよね。本当に打ちのめされると人って全然涙とか出ないものだ。
 
その日の晩、外泊をしていた私は疲れており明日の朝も早いのに、まるで眠気が起きずいつ返事が来るかと思うと気が気じゃなくて、ずっと真っ暗な部屋でベッドに寝そべったまま意味もなくスマホを眺め続けていた。
その文面を、何度も何度も、一単語一単語焼き付けるように読んではずっと枕をびしゃびしゃに濡らしている私は世界で1番消えるべき存在なんだろうとか、そういうことを思った。
明日の朝目が腫れてないといいなとかそんなことも思っていた。
 
「少年の日の思い出」という物語を知っているだろうか。
中学の国語の教科書に載っていて、妙に記憶に残っている。チョウの収集家だった主人公と友人がいて、作中主人公は罪を犯し友人を失望させる。最後にはそんな自分への戒めと償いのために収集していたチョウをすべて壊し捨て、収集をやめてしまう、という話だ。
布団の中で夜明けを待つあいだ、ずっとこの話を思い出していた。
きっともう償えない。
この主人公はすごく愚かだろう。すべてが自業自得で、収集をやめたとて友人の何かが変わるわけでもなく。すべてが自己満足だ。他人だからなんだって言える。
そうして、こんな私もまた、こんなふうに正直者ぶって長々とブログに文章を綴って、苦しい、つらい、ごめんなさい、反省していると書いたって、何かが変わるわけでもあの日を取り返せるわけでもなくて。
 
冒頭に綴った通り、私は誰にも言えない過去だとか後悔が他人より多い人生を送っていると思う。それはひとえにいつまでも学習しない私のどうしようもない愚かさゆえのことで、すべて自分が悪いのだけれど。また、時たま思い出して枕を濡らす過去が増えたかと思うと死んでしまいそうだ。
はやく、どうか、この夜がついえますように。
 
きっともう、謝っても許されても、その人とは以前のように、それが起こる前のように、なんの後ろめたさもなく憧れ背中を追い、そっと好意を返して貰っていた以前のようにはもう戻れないんだろうなと思う。
もともと美しい人間なんかではなかったけれど、あなたの前でだけは正しい私でありたかったんです。あなたに心から敬意を払い、あなたにそっと信頼され、感謝される私でありたかった。汚くて愚かな私なんて見せたくなかったんです。
もう遅いけど。
 

朝、帰りのタクシーで車窓からぼうっと景色を眺めつつまた泣いていた私は酷く惨めだ。

けれどもう少しだけ泣いても、許されるだろうか。

 

 

ーごめんなさい、もう遅いけど。